ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞受賞の快挙を遂げた、黒沢清監督最新作『スパイの妻』が、いよいよ10月16日より公開されました。今回のセミナーでは、卒業生はじめENBUゼミナールに縁の深い映画作家たちが、黒沢監督と対面。若手作家ならではの視点で、映画『スパイの妻』の秘密に迫ります!
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1940年、神戸で貿易会社を営む優作は、赴いた満州で、恐ろしい国家機密を偶然知り、正義のため、事の顛末を世に知らしめようとする。満州から連れ帰った謎の女、油紙に包まれたノート、金庫に隠されたフィルム…聡子の知らぬところで別の顔を持ち始めた夫、優作。それでも、優作への愛が聡子を突き動かしていく———。
すべての国民が同じ方向を向くことを強いられていた太平洋戦争開戦間近の日本。正義を貫くためには、誰かを陥れなければならない。愛を貫くためには、誰かを裏切らなければならない。正義、欺瞞、裏切り、信頼、嫉妬、幸福。相反するものに揺られながら、抗えない時勢に夫婦の運命は飲まれていく。昭和初期の日本を舞台に、愛と正義を賭けた、超一級のミステリーエンタテインメントが誕生した。
監督:黒沢清
脚本:濱口竜介/野原位/黒沢清 音楽:長岡亮介
出演:蒼井優/高橋一生/坂東龍汰/恒松祐里/みのすけ/玄理/東出昌大/笹野高史
登壇者紹介
1955年7月19日、兵庫県出身。大学時代から8ミリ映画を撮り始め、『スウィートホーム』(88)で初めて一般商業映画を手掛ける。その後『CURE キュア』(97)で世界的な注目を集め、『ニンゲン合格』(98)、『カリスマ』(99)と話題作が続き、『回路』(00)では第54回カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞。以降も、第56回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品作品『アカルイミライ』(02)、第64回ヴェネチア国際映画祭正式出品作品『叫』(06)と国内外から高い評価を受ける。また『トウキョウソナタ』(08)では、第61回カンヌ国際映画祭ある視点部門審査員賞と第3回アジア・フィルム・アワード作品賞を受賞。「贖罪」(11/WOWOW)は、テレビドラマにも関わらず数多くの国際映画祭で上映された。その他、第8回ローマ映画祭最優秀監督賞を受賞した『Seventh Code セブンス・コード』(13)、第68回カンヌ国際映画祭ある視点部門監督賞を受賞した『岸辺の旅』(14)、第66回ベルリン国際映画祭に正式出品された『クリーピー偽りの隣人』(16)、フランス・ベルギー・日本合作で、オールフランスロケを敢行した『ダゲレオタイプの女』(16)、第70回カンヌ国際映画祭ある視点部門に正式出品された『散歩する侵略者』(16)、ドラマ「予兆 散歩する侵略者」(17/WOWOW)、1ヶ月間ウズベキスタンに滞在し撮影を行った『旅のおわり世界のはじまり』(18)などがある。本作『スパイの妻』で、第77回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に初めて選出された。
東京出身。『カイエ・デュ・シネマ・ジャポン』誌元編集委員。『カイエ・デュ・シネマ』本誌とともにフェスティヴァル・ドトーヌにて黒沢清、青山真治、篠崎誠、諏訪敦彦ら日本の監督たちを紹介。1996年より東京日仏学院(現アンスティチュ・フランセ日本)にて映画プログラムを担当し、さまざまな映画上映の企画・運営を手がける。フランスから多くの監督、俳優、映画批評家らを招聘し、日本では上映の機会があまりない作品を中心に紹介しながら、上映と批評との関係、国境を越えたアーティスト、書き手の交流についてつねに模索している。2012年にはロカルノ国際映画祭にてOpera Prima(新人部門)の審査員、14年のカンヌ国際映画祭では「批評家週間短編作品部門」の審査員を務めた。『カイエ・デュ・シネマ』を初めとしたフランスのメディア、日本にて映画批評活動も継続、著書には『エドワード・ヤン 再考/再見』(共著、フィルムアート社)などがある。
今泉力哉
天野千尋
小村昌士
濱本昌宏
遠上恵未
セミナー動画
※この動画では物語の核心に触れる部分がございます。
視聴期限 購入から30日間
視聴開始から各部それぞれ48時間